インターネット行政書士のフロンティア戦略 第 171号
令和4年9月24日発行
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。
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今回の目次
□ 親の認知症に備えて「委任契約兼任意後見契約」を結べ
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認知症患者は2020年で約631万人おり、2025年には約730万人、2050年には約1000
万人になると予想されています。
認知症になると自分でお金の管理が出来なくなりますので、認知症患者は自分で
財産管理する能力(意思能力)を有しないとされます。
銀行は口座名義人が認知症だと分かると本人名義の口座を凍結し、本人は下せ
なくなります。 本人に代わって親族が下ろすことも出来ません。
これに備える準備として、「委任契約兼任意後見契約公正証書」の作成が最適です。
これは親がまだ判断能力がある内に、親族を任意後見受任者に選任する任意後見
契約、及び親の財産管理や見守り等が直ちに始められる委任契約を、公証役場で同
時に締結するものです。
これを締結しておく最大のメリットは、親が認知症になる前から、親族が本人名義の
口座から預金を下ろすことが出来ることです。
受任者の親族には委任契約に基づき、代理権が付与されているからです。
この代理権の範囲は、親が認知症になった時(家裁に申請して任意後見受任者から
任意後見人になった時)の代理権の範囲と全く同じなのです。
つまり、この代理権には本人の財産管理に必要な業務の代理権がほぼ網羅され
ているのです。
また、親の判断力はまだ低下していないのですから、本人は遺言公正証書を作成
することも既にある遺言を変更することも可能ですし、死後事務委任契約の締結も
可能です。 これらの契約は親が認知症になった後では一切不可能になります。
受任者の親族は委任契約に基づく代理権を使って、老人ホームの入居契約、墓石
の購入契約、病院との入院契約、入院費の支払い、保険金の請求、ヘルパー派遣契
約、介護予防サービス利用契約などの契約関係の事務を行うことが出来るのです。
公正証書の作成から5、6年も経過すれば、本人に認知症の疑いが出て来ることが
ありますが、そうであっても委任契約があれば上記契約は可能なのです。
なお、 家裁のデータによれば、家裁に申請して任意後見が開始したケースは
6.8%程度(令和3年度で784件)にとどまっています。
つまり、「委任契約兼任意後見契約公正証書」を作成した場合でも、任意後見契約
が発効する前に本人が亡くなっているケースが約93.2%もあるということです。
ところで、前回の第170号で、相続放棄申述受理申立の本人署名に関し、本人は
一筆書きの読み難いカタカナの署名しか書けなくなっていたが、結果的にそれで受理
されたことを書きました。
一時は、本人による署名が無理なら、成年後見制度を利用して選任された法定後
見人(法定代理人)が署名して提出してくれと、家裁から云われていた案件です。
なお、成年後見制度は広義には任意後見を含み、狭義には法定後見のみを
差します。 家裁が云っているのは狭義の法定後見の方です。
法定後見 2000年4月1日改正の民法が根拠法
任意後見 任意後見契約に関する法律が根拠法
しかし、本人が指の筋肉の衰えで字が書けないことと意思能力がないこととは、別
問題の筈です。
本人に相続放棄をしない場合の結果を弁識する能力(意味理解能力)がまだあった
とすれば、法定後見人の選任は要らないのです。
私は法定後見について調べて見ましたが、この制度には以下の問題点があり、
改正が検討されていることを知りました。
しかし、改正案が国会に上程されるまでには5、6年後になる予定です。
<問題点>
・ 成年後見の利用が開始されると、辞任(家裁の許可が必要)するか
解任されない限り本人が亡くなるまで継続する。
報酬の負担が大きいことが認知症患者約600万人に対し、成年後見の
利用者は約24万人(4%程度)に留まっているマイナス要因
と考えられる。
・ 後見人の途中交代が難しい(仕事の内容の変化に対応していない)。
・ 親族が後見人に就くことが難しい。
<改正の方向>
・ 一時的利用を認める→ 不動産の売却のみとかのピンポイント利用
を可能にする。
・ 任期性にする→ 要らなくなった時に終了させ、報酬負担を軽減する。
・ 後見人の交代を認める
→ 当初の財産管理は弁護士などの法律専門家が担い、介護が必要
になった時は社会福祉士等の介護の専門家に交代出来るようにする。
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